損傷区分について
データ復旧業界では、データが失われた原因やストレージデバイスの状態によって、「損傷区分」を大きく2つに分けて評価します。それが「1論理損傷」と「2物理損傷」です。
データに異常を感じた場合は、被害を最小限に抑えるためにも、適切な損傷区分を判断し、専門家への相談を検討することをお勧め致します。
1論理損傷(分解不要)

2物理損傷(分解必要)

ハードディスク、SDカード、ビデオカメラ、ICレコーダー等の損傷区分も上記のUSBメモリ損傷区分と同様です。
1論理損傷の場合
論理損傷(Logical Damage)とは、データが保存されている記憶媒体(HDD、SSD、USBメモリ、SDカードなど)自体には物理的な問題がないにも関わらず、データの構造やファイルシステムに異常が発生し、データにアクセスできなくなる状態を指します。
1-4 主な原因
- 誤操作: 誤ってファイルを削除、フォーマット(初期化)、上書きしてしまった。
- ソフトウェア・システムエラー: OSやアプリケーションの不具合、不正終了、更新中の強制終了などによるファイル破損。
- ウイルス・マルウェア感染: 不正プログラムによってファイルが削除されたり、暗号化されたりする。
- ファイルシステムの損傷: データ管理を行うファイルシステム(FAT32, NTFS, exFATなど)が破損した。
2-4 兆候
- ファイルが開けない、文字化けする。
- 特定のフォルダやドライブが表示されない。
- エラーメッセージが表示される(例:「ファイルまたはディレクトリが壊れています」)。
- OSが起動しない(システムファイルが破損した場合)
3-4 データ復旧
論理損傷の場合、データ復旧の可能性は比較的高い傾向にあります。以下のようなアプローチで復旧を行います。
- ファイルシステム解析: 損傷したファイルシステム構造(FAT、MFTなど)を深く解析し、失われたファイルのインデックス情報やメタデータを再構築します。
- データスキャン(ディープスキャン): ファイルシステムの情報が失われていても、ディスク全体を直接スキャンし、ファイルの開始を示す署名(シグネチャ)や構造パターンを検出して、ファイルを復元します。特に動画ファイルやデータベースファイルは、独自のヘッダやフッタ情報を持つことが多いため、この技術が有効です。
- 断片化されたデータの再構築: 削除や破損によって断片化したファイルを、その構造を理解した上で正しい順序で再構築します。御社の「独自開発したアルゴリズムを使用してさまざまな形式の映像を回復します」という強みは、この点に非常に有効であると考えられます。
- RAWデータ復旧: ファイルシステムの情報が完全に失われている場合でも、データそのもののパターンを認識して復旧を試みます。
4-4 コメント
軽度な論理損傷であれば、データ復旧ソフトウェアやOSの修復ツール(chkdskなど)で対応できる場合があります。ただし、無理な操作はかえって損傷を悪化させる可能性があるため、専門知識がない場合はデータ復旧業者への相談が推奨されます。
2 物理損傷の場合
物理損傷(Physical Damage)とはストレージデバイス(ハードディスク、SSD、USBメモリ、SDカードなど)自体の物理的な故障を指します。
その最も明確な症状の一つが「パソコン上で認識しない」という状態です。
1-4 主な原因
- 経年劣化: 長期間の使用による部品の摩耗、劣化。
- 衝撃・落下: HDDのヘッドクラッシュ(読み取り部分とディスクが接触する)など。
- 水没: 記憶媒体内部に水が浸入し、電子回路がショートする。
- 火災: 高熱により部品が損傷する。
- 電力問題: 停電や不安定な電力供給による回路の損傷。
- 製造上の欠陥: 初期不良など。
2-4 兆候
- 異音(「カチカチ」「ジー」「コツンコツン」など)がする。
- PCが記憶媒体を認識しない。
- 焦げ臭い匂いがする。
- 物理的な変形、破損が見られる。
- 電源が入らない。
3-4 データ復旧
物理損傷の場合、データの復旧は非常に高度な技術と専門的な設備を要します。御社が提供されているような専門のデータ復旧サービスが必要となる状況です。
- クリーンルーム環境: HDDのプラッタが露出するような損傷の場合、空気中の微細なチリがデータ面に付着するのを防ぐため、専門のクリーンルーム(無塵室)での作業が必須となります。
- 部品交換: 破損したヘッド、モーター、基板などの部品を正常なものと交換し、一時的にデバイスを動作可能な状態に戻します。
- データイメージング: 安定した状態になったデバイスから、専用ツールを用いて残されたデータを別の健全なストレージにクローン(イメージング)します。
- ファームウェア修復: デバイスの動作を制御するファームウェアが破損している場合、これを修復してデータへのアクセスを可能にします。
4-4 コメント
物理損傷は、自力でのデータを復旧することは難しいです。データ復旧をするためには極めて専門性が要求される技術が必要となる事があります。装置の分解・部品交換等の極めて専門的な作業が必要になります。物理障害の場合は復旧技術によって復旧率は大きく異なります。危険なのは専門的な技術が乏しい会社で2次障害を起こしてしまうことです。場合によっては永遠に復旧ができなくなります。異変を感じたらすぐに専門家へ相談することをお勧め致します。
下記は物理損傷の依頼品中一部
下記写真の媒体は他社で復旧できなかった重度障害のハードディスク、USBメモリ、SDカード、CFカードです。当社で復旧できました。

お客様へ
データ修復は大多数のお客様にとっては一過性の問題であり、修復作業内容への不明、緊急度によっては法外な費用を支払う事もあります。ですが、論理か物理かという障害内容の切り分けだけで依頼の内容も判断がつきそれに伴った修復費用・工数も目処がつきます。
データ復旧会社の選定でお悩みの方、当社へご相談下さい。
お客様の納得のいく作業内容、それに伴った見積もりを提示し、不幸にして修復不可となった場合でも技術的なご説明をさせていただきます。
ご用命をお待ちしております。